挑戦性と軽井沢蒸溜所の設備が息づく静岡蒸溜所
先日、一般公開に先立ち、ガイアフローの静岡蒸溜所に伺ってきました。
場所は、静岡県の静岡市葵区で、まずは、地図で場所をご確認下さい。
山間部と言えば良いのか分かりませんが、蒸溜所は、標高200mくらいのところにあり、市街地から蒸溜所へ向かい道沿いには、無数のお茶畑を見ることがで、いかにも、ステレオタイプの静岡市という風景が広がっています。※蒸溜所の裏手の斜面にも、お茶畑がありました。
蒸溜所のすぐ目の前には、中河内川という非常にきれいな川が流れており、鮎釣りをする釣り人もいます。
ウイスキーの熟成には、湿潤な環境が必須なのですが、この川により、湿度が得られているようです。
また、回りには、杉の様な針葉樹が多数植林されているようで、木々からも、水分が蒸散されていることと思います。
↓こちらが外観で、入り口には、のれんが掛かっています。
また、ご丁寧に、ウェルカムボードもご準備いただき、ホスピタリティを感じました。
↓こちらは、見学者用のテイスティングルーム(ゲストルーム)です。
あとから、ご紹介するポットスチルもこちらの部屋から拝見できます。
それでは、主な製造行程を駆け足で見ていきましょう。
細かい設備や説明は割愛させていただきます。
まず、↓こちらの赤い機械は、ポーティアス社製のモルトミル(ローラーミル)です。
軽井沢蒸溜所の設備一式を入札で購入された際に、それに含まれていた1つが、こちらのモルトミルです。
続きまして、マッシュタン(糖化槽)です。
写真の男性が、社長の中村氏で、今回、お忙しいにも関わらず、ご案内頂きました。
ありがとうございます。
↓こちらは、内部の写真です。
静岡蒸溜所では、マッシュタンからウォート(麦汁)を取り出す際、ポンプで陰圧にして、ウォートを取り出しています。
通常は、重力での自然落下で取り出す場合が多いのですが、ポンプで引っ張ることで、効率的にウォートが回収できます。
↓これは、取り出したウォートの透明度を確認できるガラス製の装置(パイプ)で、光を当てて、色や濁りをリアルタイプで確認できます。
次に、ウォッシュバック(発酵槽)。
ウォッシュバックは、乳酸菌が住み着きやすい木製で、試験的に、一つは静岡産の杉の木で作られていました。※写真:右・手前
現在は、水を張って、アク抜きをされおり、今後、使用されるとのことです。
今後も、ウォッシュバックを増やせるよう、スペース的な余裕をとってあるそうです。
↓ウォッシュバック内にウォートを張り込んでいらっしゃるところですが、既にこの時点で香りが良いです。澄んだ甘い麦の香りがします。
↓実際にウォートを試飲させていただきましたが、大変スッキリして、雑味が少なく、スルスル飲めてしまいます。
↓そして、こちらは、アルコール発酵が終わったウォッシュ(もろみ)です。
↓続きまして、ポットスチル(単式蒸留器)です。
これは、前述のテイスティングルームから、ガラス越しに撮った写真です。
右がスチーム加熱の再溜器で、左が、世界でも例がないと思われる薪直火の初溜器。
薪直火のポットスチルに関しては、スタッフの方が、体調を崩して、また、稼働されていないそうですが、近い将来、実際に蒸溜が行われるそうです。
↓そして、下の写真のポットスチルは、初溜器で、あの軽井沢蒸溜所で使われていたものです。
ポットスチルに詳しい方なら、直ぐに、ラインアームが非常に長く、それも、先に行くにつれてすぼまっているという点に気が付かれると思います。
↓近くらから撮った写真ですが、まず、こちらは、スチーム加熱の再溜器。
↓こちらが、薪直火の初溜器。
↓下の方は、このようになっていて、薪を焚べられるようになっています。
林業が盛んな地域なだけに、地元の資源を有効活用して、ウイスキーを製造したいという思いから、このポットスチルを導入されたそうです。
↓こちらは、軽井沢蒸溜所で使用していた初溜器です。
↓こちらは、ミドルカットされたニューポット。
↓そして、スチルハウスから移動して、ウェアハウスへ。
ウェハウスは、非常に珍しいのですが、天井に光を取り込むためのガラス窓が取り付けられて、明るいです。
写真の機械は、樽のフープ(タガ)を締めるための装置で、こちらも軽井沢蒸溜所にあり、引き取ったものだそうです。
今のところ、まだ、使う予定がないそうで、メンテナンスをすれば、使えるようになるようです。
↓ウェアハウスは、ダンネージ式ではありますが、床はコンクリート製です。
現在は、3段ですが、いずれは、4段で積み上げられる予定だそうです。
また、写真ではわかりづらいですが、ウェアハウスの天井が、ダンネージ式としては非常に高いです。
↓一部、シーズニングされたシェリー樽や試供品のミニ樽もありました。
そして、下の2期のポットスチルは、軽井沢蒸溜所の中古品ですが、酷使され、非常に薄くなって、穴も空いているので、展示用とのことでした。
また、写真の2基以外にも、バラした状態のものが1つありました。
ということで、かなり駆け足でしたが、製造工程を一通り、ご覧頂きました。
薪直火のポットスチルが動いているところが見られなかった点だけは、心残りですが、中村社長に丁寧にご説明いただき、大変有意義な蒸溜所見学となりました。
ガイアフローの皆様、ありがとうございました。
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